Vol.127
2016年12月5日 公開
12月5日は、アマデウス・モーツァルトの命日です。モーツアルトは1756年1月27日、ザルツブルグに生まれ、3歳からチェンバロを弾き、5歳で作曲を始めるなど、幼くして「神童」と呼ばれていました。
ザルツブルグに住んでいた頃は大司教のもとでミサ曲を書き、ウィーンに移ってからはオペラの作曲や楽譜の出版などで生計を立てていました。
しかし、ミサ曲をほとんど書かなくなかったウィーン時代も、バッハの平均律クラヴィーア曲集を研究するなど、キリスト教の音楽文化から離れることはなかったようです。
1791年8月、一人の男性が『レクイエム(死者のためのミサ曲)』の作曲の依頼にやって来ます。
その頃、オペラ『魔笛』の作曲に取りかかっていたモーツァルトは、初演が終わったあとで『レクイエム』の作曲に着手するのですが、体調を崩して病床に伏してしまいます。
そして病状が悪化する中、作曲を続け、死が迫る最後まで弟子のジュスマイヤーに作曲を指示した彼は、1791年12月5日、35歳でこの世を去ってしまいました。
『レクイエム』は、その後、ジュスマイヤーの補筆によって発表されたといわれています。
モーツアルトの作品といえば「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」や「トルコ行進曲」などがよく知られていますが、『レクイエム』もぜひ聴いていただきたい曲です。
それは鎮魂歌ではなく、安息を求める祈りの歌。
希望にあふれています。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)