Vol.124
2016年11月14日 公開
覚悟を決めるということは、何かを選ぶことでもあり、何かを捨てることでもあるのかもしれない。その日、人生の岐路に立たされた若者たちを見ながらそんなことを考えていました。
10月に行われたプロ野球のドラフト会議。この日、あるテレビ局ではプロ野球への夢を追いつづけた選手と家族の絆をテーマにした番組が放送されました。
父親の交通事故や両親の離婚などで一変した生活、野球を続けるのかやめるのか迷い続けた学生時代、家族の支え、仲間たちの応援・・・。
VTRが終わり、インタビューに答える彼らに共通していたのは、お世話になった方々への感謝の心と、プロ野球選手として生きていく強い決意でした。
成功するかどうかは誰にもわからない。並大抵な努力では一流選手にはなれないでしょう。それでも彼らは覚悟を決めて挑戦し続けていくのです。
かつて海を渡って大陸をめざした遣唐使や、日本にやってきた大航海時代の宣教師のように、迷うことなく新しい世界へと船を漕ぎ出していくのです。
現代社会にはあまりなじまないかもしれないけれど、まだまだ生きている「覚悟を決める」という言葉。
昨日から始まった大相撲十一月場所。覚悟を決め、不退転の決意でのぞむ力士たちの姿がここにもあります。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)