Vol.12
2014年9月15日 公開
初めてその歌声を聴いたのは確か5年前。長崎居留地まつりのイベントのひとつとして開催された大浦天主堂でのコンサートでした。彼らは長崎市立大浦小学校の生徒たちで構成する長崎居留地キッズコーラス。天井まで響き渡る美しい歌声と、少しだけ体を前に乗り出して歌う一生懸命な姿に思わず涙したことを覚えています。
翌年、ある雑誌の取材で彼らに会う機会に恵まれました。午後5時、大浦小学校に着くと、開け放した窓から子どもたちの元気な声が聞こえてきました。音楽室とそこに続く廊下は60人ほどの生徒でいっぱい。4つのパートにわかれて行う練習にはそれぞれ1人ずつ先生が付いて指導にあたっていました。
大浦天主堂で子どもたちに歌をうたわせたい。キッズコーラスの結成は、地元有志のそんな純粋な想いからスタートしました。この申し出に大浦天主堂の神父さんは「子どもたちのためなら」と快く承諾してくれたそうです。そして小学校の音楽の先生方もこの提案に賛同し、生徒たちに呼びかけてメンバーを募集。2008年、長崎居留地キッズコーラスは誕生したのでした。
以来、伝統を受け継ぐメンバーたちはさまざまなイベントに出演しながら、大浦天主堂の舞台に立ち続けています。今年も聖堂に天使の歌声が響き渡ります。コンサートは9月20日(土)午後1時から。お揃いでおでかけください。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
フューレ神父とプティジャン神父の設計により1864年に建設された教会堂である。【登録資産グループ/大浦天主堂】