Vol.111
2016年8月15日 公開
何かと忙しいお盆。8月13日はご先祖様があの世から帰ってくるので仏壇をきれいにして飾り付けをし、菰(こも)の上にお供えを並べ、軒先に迎え灯篭をつるします。
「ご先祖様は夕方には帰ってくるから」。子どもの頃、母の何気ないこの言葉を聞いて怖くなったことをおぼえています。
14日。この日はお坊さんにお経をあげてもらい、お墓の掃除とお参りをすませます。
15日は終戦記念日。正午のサイレンとともに戦没者への追悼と平和への願いを込めて黙祷します。
そのあとは甲子園で繰り広げられている高校野球のテレビ観戦。ここでビールを飲みたくなるのですが、「まだまだ」と自分に言い聞かせます。
夕方になると、菰にお供えを包んで町内の「もやい船」に持っていきます。「もやい」とは「分け合う」とか「一緒に」の意味。町内ごとにご先祖様を送り出すのです。
8月15日は、カトリックの信者の方々にとっても特別の日。イエスの死のあと、ヨハネの保護のもとに余生を送り、使徒たちに見守られながら亡くなった聖母マリアが天に召されたことを記念する「聖母の被昇天」の祝日だそうです。
ちなみにこの日はイエズス会が結成され(1534年)、フランシスコ・ザビエルが日本にやってきた日(1549年)。何か不思議なつながりを感じますね。
気ぜわしいけど、なんだかいろいろと興味深いお盆。今夜は爆竹の音に包まれながら熱気あふれる精霊流しを楽しみましょう。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)