おらしょ こころ旅

Vol.209

海がもたらした遺産

2018年7月16日 公開

今日7月16日は「海の日」。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨に1995年に制定されました。

翌年から2002年までは7月20日に実施されていましたが、それ以降は7月の第3月曜日に変更となりました。

海洋国日本にあって多くの島々や半島、湾などで構成される長崎県は、島の数(971島)、海岸線の長さ(4,195km)ともに全国1位。

海を隔てて大陸と接しているため、古くから海外との交流の窓口として大きな役割を果たしてきました。

1550年、平戸にポルトガル船が来航して南蛮貿易が始まると、イエズス会の宣教師たちは貿易船に便乗して来日し、布教を開始しました。

東アジアの玄関口であった長崎地方はやがて海外貿易の拠点となり、平戸、長崎、有馬などを中心にキリスト教は広まっていったのです。

しかし島原・天草一揆をきっかけに幕府はポルトガル船を追放して海禁体制を確立。

大規模なキリシタン摘発事件によって多くの信徒が殉教するなか、長崎と天草地方ではひそかに信仰が守り伝えられてきました。

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、海に囲まれた長崎県の地理的環境によって育まれた遺産ともいえるかもしれませんね。

もうすぐ夏休み。まぶしいほどの海の青さを堪能しながら、教会や集落などを訪ねてみませんか。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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