おらしょ こころ旅

Vol.453

種と命

2023年4月24日 公開

 424日は「植物学の日」。1862年(文久2年)この日(新暦522日)、植物分類学者の牧野富太郎が生まれたことにちなんで制定されたそうです。

現在放送されている朝の連続ドラマの主人公のモデルになった人物といえばおわかりになる方も多いと思います。

牧野富太郎は、高知県佐川町の豪商の家に生まれ、94歳でこの世を去るまで植物研究に打ち込み、多数の新種を発見、命名した近代植物分類学の権威として「日本の植物学の父」と呼ばれました。

造り酒屋であった実家の財産を研究につぎ込むなど、金銭感覚の欠如を指摘する声もあったようですが、それでも植物に対する情熱と業績は素晴らしく、日本の植物学をけん引する存在として高い評価を得ていました。

牧野の名言として知られているのが、ある雑誌のインタビューでこたえた「雑草という草はない」という言葉。

たしかに雑草とは、自然に繁茂している植物の総称であり、ほかの植物と同じように一つひとつ名前があります。

田んぼに植えられた稲も、道路の片隅で咲くタンポポも同じ植物であり、種をのこすために懸命に生きている、そんなことを言いたかったのかもしれません。

 250年以上ものあいだ、潜伏して信仰を守り続けてきたキリシタンが、その祈りの文化を次の時代に伝えていったように、現代を生きる私たちも次世代を担う子どもたちにさまざまな伝統や文化を受け渡していこうとしています。

人間は、いや動物も植物も、この世に存在するすべてのものが、命をつないで生きているのです。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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