桜のような花柄のステンドグラスが有名な大曾教会だが、そこをすり抜けて射し込む光にはなぞがある。外枠にはめられたステンドグラスは、確かに堂内の床や机に美しい色を落とすが、桜の花びらを含む花型の部分はそのほとんどが色を通さない。一体どうなっているのか? ガラスがはめ込まれた部分をよく見ると、花柄の部分にだけ擦りガラスがもう一枚はめ込んであった。つまり光の透過を押さえる工夫がされていたのだ。この意図するところははっきりとしないが、聖書などを読む時に、ステンドグラスの色が映りこんで文字が見えにくくなることを防いだのではないかと推測されている。同じ桜型のステンドグラスでも祭壇上部の高い位置にあるものにはすりガラスがはめ込まれていない。設計した鉄川与助が、この教会堂にどんな思いを込めたのか? そんなことに想い馳せながら拝観すると、いろんなものが見えてくるのではないだろうか。