旧五輪教会堂の外観は民家風の素朴さが特徴である。むかしの学び舎のような、どこか懐かしい温かさがある。

内部のリブ・ヴォールト天井もまた西洋の技法だが、板張りの木の素朴さとともに日本的な匂いを漂わせる。祭壇前の柵にも丁寧で細やかな仕事ぶりと、美へのこだわりを感じる。側面の窓は引き戸式で壁の中に収納できるよう工夫がされ、合理的で無駄のない日本建築の良さをのぞかせる。地元の大工で仏教徒の平山亀吉が建設に関わったそうだ。

西洋の教会堂建築の華やかさや荘厳さとは真逆にあり、日本的な独特の香りがする旧五輪教会堂。浜辺に打ち寄せる波の音が時間の流れを緩やかにする。外に植えられた桜の木々は信徒たちが大切に育てている。