16世紀後半から17世紀初頭、いわゆるキリシタン時代の日本における西洋音楽の楽譜が残っているのは、1605年に長崎で印刷刊行された『サカラメンタ提要ていよう』のみである。この本は、西海市出身の中浦ジュリアンら天正遣欧少年使節てんしょうけんおうしょうねんしせつが持ち帰った印刷機で刷られた、日本初のカトリック典礼書てんれいしょであり、西洋式楽譜印刷本と言われている。

その『サカラメンタ提要』記載のラテン語聖歌が、2011年、西海市教育委員会の企画によって甦った。1563年4月17日付の修道士フェルナンデスの書簡に記されている、復活祭で歌っていたアレルヤやラウダーテという歌を、西海北小学校6年生児童が歌い、CD化したのである。記録に「横瀬浦に上陸した宣教師たちは、この地の少年少女たちが歌うラテン語聖歌の調べに驚嘆した」という記述が残っていることからの企画だったそうだが、現代の西海市の小学生が馴染みのないラテン語の聖歌を美しく歌いあげている。西海市のホームページで簡単に聴けるのでぜひ美しい聖歌に耳を傾けて欲しい。


http://www.city.saikai.nagasaki.jp/docs/2011030900084/