平戸の根獅子地区にある聖地「ウシワキの森」には悲しい殉教の話が伝わる。禁教時代、キリシタンの夫婦と三姉妹の家族の前にひとりの男が現れた。夫婦はその男の働きぶりが気に入り、長女の婿として迎える。やがて長女が身ごもったため、家族はもう大丈夫だろうと、男に自分たちの信仰を打ち明けた。しかし、翌日男は家からいなくなり、代わりに役人が来て一家は捕らえられた。身ごもった子どもも含め6人(おろくにん様)が根獅子の浜で処刑され、遺体は海に捨てられたという。村人たちはその遺体をこの雑木林に埋葬し、ここを聖地とした。ウシワキとは、もともとこの森が「おおいしわき」と呼ばれ、それが訛ってウシワキと呼ばれるように。神聖な場所として、昔は靴を脱ぎ裸足で森に入っていたらしい。