春日集落のかくれキリシタンのこう(組の意)では、順番で宿を取り、おふだ(木札)を祀る行事を行なっていた。お札は梅の木を使って自分たちで作ったもので、布袋に入れていた。16枚のうち15枚は3種類に分けられる文様が付いていて、『マリア十五玄義図じゅうごげんぎず』の3つの場面に対応している。

講で集まると、床の間に神様を飾り、お供えをするが、唱え言となえごとはしなかった。御神酒おみきのお下がりをいただいてから、袋の中に入った札を各自1枚引く。お札の中の、袋の絵が描かれた「おふくろ様」という札が、親札(マリア様)に当たる、一番良い札。おふくろ様を引いた人は、お爺役じいやく(講で一番位の高い人)のところへ、米1合、御神酒を持っていき、拝んでもらっていたという。

お札は平戸や生月の他のキリシタン集落でも行われていたが、地域によって違いが見られる。