江戸時代、壱岐から移住した小田家は鯨組を組織し大いに栄え、長く地元の名家として存在していたが、1987年、やむなくこの島での歴史を閉じた。その折、500坪の敷地内にある旧小田家母屋をはじめ、裏庭に建つ土蔵、江戸時代に造られた石州流庭園、また先祖代々の品々(什器、陶磁器、書籍、古文書など)を小値賀町に寄贈。町は小田家の厚意に報いるべく、敷地内に新館展示室を併設し、1989年「小値賀町歴史民俗資料館」として一般公開した。
新館の一角には、野崎島の舟森にあった瀬戸脇教会の資料も展示されている。野首教会堂の床下から出てきたというロザリオやメダイなどのほか、古い写真なども展示されており、野崎島における信仰の歴史を改めて感じることができる。開館当時から資料館に勤務し、古文書などの調査にも携わり、地元の歴史にも詳しい魚屋優子さんが見学者の質問にも応じてくれる。