江戸時代初期に建てられ、禁教令によって5年後に破壊されたサント・ドミンゴ教会。その地下遺構が校舎建て替えの際に見つかった。2000年から約1年かけて調査した結果、12万点を越す遺物と多くの建物遺構が確認された。特に、教会破壊後に代官屋敷が建てられたことから残存しないと思われていた教会遺構が確認されたことは驚きであった。

教会時代の遺物として象徴的なものが「花十字紋瓦はなじゅうじもんがわら」。この場所からは約80点が発見され、現在は資料館の一角に展示されている。花十字の文様もんようは中央の十字の周囲に並ぶ連珠れんじゅによって構成されており、十字の先端が花びら状に開いたものなど、いくつかのバリエーションがある。瓦の材質が代官屋敷のものと全く同じであるため、長崎の瓦職人が焼いたものだと考えられている。花十字紋瓦は長崎県以外では鹿児島市でも確認されている。もともとサント・ドミンゴ教会が鹿児島から移築されたものであることを考えると、時を超えたつながりを感じる。

遺構の中には教会建築を彷彿ほうふつとさせる西洋風の石畳や排水溝、地下室の跡が確認でき、ここに教会があったことを伝えている。