五島観光歴史資料館のキリシタンコーナーをたずねると、椛島から寄贈されたかくれキリシタンの資料が多いのに気づく。椛島とはどんな島なのだろう。

椛島は福江港から高速船で30〜40分、周囲約25kmの小さな島である。禁教期に外海から福江島などに移住してきたキリシタンがさらに新しい場所を求めて移住し、山間の不便な地に隠れ住んだ。明治期のキリスト教解禁後になってからもカトリックには誰一人復帰しなかったため教会堂は無い。そのまま昭和までかくれキリシタンとして禁教時代の信仰が続けられたが、1950年代からの人口流出により5つあった組織は次々に解散。1987年に最後の組織が解散した。組織は解散したが、かくれキリシタンの風習は今もその面影を残しており、仏壇に飾られた位牌の裏に洗礼名が書かれているものもあるという。

椛島のかくれキリシタンの人たちは、御堂にある「三次わん様」とサンジュワンを漢字で書いた石を拝んでいたという。現在、その石は堂崎天主堂に展示されている。