﨑津集落は戦国時代に形成された漁村で、キリスト教の伝来期には布教の拠点であった。土地の形は江戸時代から大きな変化がなく、集落の主要な道や海岸線の石積護岸も昔の名残を留めている。

その中でも、﨑津独特の風景が、海に面した家々でよく見られる海上テラスのように造られた「カケ」である。今富の山で採れた竹やシュロで造られており、現在でも漁で使う道具の補修場や、魚介や海藻の干し場として使用されている。「トウヤ」は、民家と民家の間に造られた約90cmの細い道のことで、海に出る際はもちろん、交流の場にもなっている。どちらも、土地が狭く民家が密集した﨑津ならではの工夫であり、漁師町の歴史と文化を感じる風景である。