フランス人のマルマン神父は黒島天主堂を建てる際、天主堂近くの名切地区にカトリックの共同墓地をつくった。それから100年以上が経過した今、墓地にはたくさんの十字架付きの墓碑が狭い間隔でずらりと並んでいる。その光景は黒島がカトリックの島であることを力強く印象づける。

背の低い蒲鉾かまぼこ形の墓石は、土葬で埋葬されていることを示している(黒島は今でも土葬が許可されている数少ない特区)。新しいお墓はどれも似た形の納骨タイプのお墓で、墓碑の前にはマリア像が飾られている。そしてもう一つの特徴は、墓石が黒島特産の御影石(花崗岩かこうがん)だということ。墓地の中程にあるマルマン神父の立派なお墓も御影石でつくられている。

黒島には禁教時代にカトリックのお墓をつくれなかった先祖をしのび、解禁後、当時の年号にさかのぼって十字を入れて作ったと思われる墓石なども残っている。