外海の潜伏キリシタンたちがマリア観音と同様に、神様に見立てて信仰したものの中に「イナッショ様」といわれる像が数体発見されている。とてもユニークな名前であるが、外海歴史民俗資料館の解説によると、聖人のイグナチオ・ロヨラのことだという。

イグナチオ・ロヨラはスペイン人で1543年にイエズス会を創設した人物。日本にキリスト教を広めたイエズス会の宣教師たちが自分たちのリーダーの名前を外海のキリシタンに教え、それをキリシタンたちは代々伝え続けたのであろう。イグナチオが訛ったのか、役人に見つからないように呼び名を「イナッショ様」としたのか、詳細は不明であるが、親しみのある響きである。