大浦天主堂敷地内にある信徒発見100年の記念レリーフをはじめ、放虎原(ほうこばる)殉教碑、長崎の浦上教会のフレスコ画と2mの聖母子像など、長崎にあるキリスト像や聖母像、レリーフの多くは中田秀和(なかたひでかず)氏(1909-1982)の作品である。

中田秀和氏は1909年、現在の新上五島町鯛ノ浦(たいのうら)に生まれる。小さい頃からその才能を発揮していたようで、伝道士として務めを果たした後、東京で洋画と書を勉強し、東光会、二科展などを経てカトリック美術協会会員となる。

戦後は長崎市内のミッションスクールで教鞭をとる傍らカトリック聖像の制作を精力的に行う。信徒発見のレリーフ、浦上教会のフレスコ画と2mの聖母子像、放虎原殉教記念碑、晩年にはローマ教皇来崎記念のヨハネ・パウロ2世胸像などを制作する一方、北海道男子トラピスト大修道院75周年の記念レリーフ、広島の世界平和記念聖堂のマリア像など、全国各地に数百点の作品を残している。

また、出身地にある鯛ノ浦教会にぜひルルドを造りたいと神父に申し入れ、洞窟の石積みから手づくりで作り上げたという(1963年完成)。

現在は、その思いと技をご子息が引き継ぎ、長崎市内でキリスト像や聖母像、聖人像などの聖像制作を行っている。