大江教会に入堂すると、すぐに目に飛び込んでくるのが聖堂正面の祭壇の上に掲げてある大きな「お告げのマリア(受胎告知)」の絵。この絵は、大江教会の主任司祭で教会堂を建てたガルニエ神父の姪にあたるソフィー・ルイズ・ガルニエさんがパリで画学生のときに描いた作品で、大江教会の献堂を記念して寄贈したもの。神の使いの天使、ガブリエルがマリアに神の子イエス・キリストを身ごもったことを告げる場面を描いている。フランスからこの絵が送られてきたとき、ガルニエ神父は子どものように喜び、絵と一緒に送られてきたベレー帽も大変気に入り、いつも身につけていたという。
また、祭壇右には聖フランシスコ・ザビエル、左には長崎で殉教した日本二十六聖人のうちの聖パウロ三木と聖ルドビコ茨木の和服姿の聖像が飾られている。どちらも奥村不二彦氏の作品である。奥村氏は、長崎の浦上で聖像づくりを行っていた彫刻家。外国人神父らとの交流もあったが、48歳の時に原爆で亡くなっている。この3体の聖像は彼の数少ない作品のひとつである。