平安時代から平戸にその名が残る松浦一族は、鎌倉時代に海の武士団「松浦党」として名をはせ、室町時代には戦国大名にまで上りつめた実力者である。勢力をのばすことができた理由に、中国、朝鮮、ポルトガル、オランダ、イギリスなど海外貿易による経済発展と、鉄砲などの武器輸入が考えられている。25代当主松浦隆信(道可)は、1550年から始まったポルトガル貿易の見返りとして、キリスト教の布教を認める。これが長崎最初のキリスト教伝来である。当時家老だった籠手田一族と弟の一部一族はキリスト教に入信し、彼らの領土に住む人々はすべてキリスト教へ一斉改宗させられた。平戸島の西に広がる春日集落もそのひとつである。弾圧が始まると籠手田氏と一部氏は信徒600名とともに平戸から長崎へと脱出。その後も追うように200名もの信徒が長崎へ逃れた。