外海はもともと「温石」と呼ばれる平べったい結晶片岩が採れる土地柄で、地元では台所のかまどや土台、家の周りの石垣などに結晶片岩を積み上げていた。しかし、当時は、石を積み上げるときの接着剤として、アマカワ(赤土にわらすさを混ぜたもの)を使っていたため、雨に濡れると流れ出し、壊れやすいのが弱点だった。そこで、新しい製法で石積みの壁を考案したのがド・ロ神父だ。神父は、アマカワを使わず、赤土を水に溶かした濁液に石灰と砂をこね合わせたものを接着剤に使用。これにより丈夫な石壁を造ることができるようになった。地元ではこれをド・ロ壁と呼び、各地で採用した。出津などでは結晶片岩を使ったド・ロ壁(塀)であるが、大野教会堂の壁は大野岳で採れる玄武岩を使用している。地元の自然石で造ることを基本としていたようだ。神父が造ったド・ロ壁はどこか南欧の雰囲気が漂い、130年以上経った今も健在である。