映画「沈黙〜サイレンス〜」でも登場し、監督のスコセッシ氏がテレビ番組のインタビューで「最高のマリアだ」と絶賛した聖画「雪のサンタマリア」。外海の潜伏キリシタンが隠し持っていた聖画で、竹筒の中に入った状態で保管されていた。横21cm、縦27cm、キリシタンたちの祈りが染み込んだ1枚である。
長崎の岬の教会の画学舎(1603〜1614)で描かれたものではないかと推測されており、潜伏キリシタンがバスチャン暦の「8月5日雪のサンタマリアの祝日」に用いたとみられる。
キリスト教の繁栄期には西洋の宗教画が流行し、輸入した絵だけでは足りず、日本人の絵師による模造絵画が作られていたとされ、この聖画もその中の一つではないかといわれている。日本に残る数少ない17世紀の宗教画として大変貴重なものである。