パステルカラーのこぢんまりとしたかわいらしい江上天主堂は、1918年に完成した。当時、各地で教会堂建築に関わっていた鉄川与助が設計を手がけた。教会堂は木造瓦葺きで、内部はリブ・ヴォールト天井を採用し、要となるボス(突起)の部分には花をあしらっている。西洋と東洋がうまく解け合っている。

教会堂は海に面し、前には小川があるため、周辺は湿度が高い。通気をよくするために高床式を取り入れた。貝殻が付いた床下の礎石は近くの海から運んだことを伺わせる。また軒下の花十字にくり抜いた装飾も風通しに配慮している。

江上天主堂は2018年に、100歳を迎える。木造建築にもかかわらず、長い間健在だったのは信徒たちの手入れはもちろん、教会堂を取り囲むタブの樹林が台風から守ってくれたからだ。立派な枝の中にはハートの形をしたものもあり、訪れた人たちを温かく迎えてくれる。