おらしょ こころ旅

Vol.9

夏の終わり

2014年8月25日 公開

少年時代、夏休み最後の週はてんてこ舞いの忙しさでした。ラジオ体操から帰って朝ごはんを食べ終わると、毎日、近所の同級生の家で一緒に宿題をしていました。「一緒に」と言っても、一方的に答えを教えてもらうだけの書き写し作業で、子ども心にもそれは悪いと思ったのか、お礼にその夏採ったカブトムシやクワガタをプレゼントし、かろうじてギブ・アンド・テイクの関係を保っていたようでした。

先日、そんな懐かしくも恥ずかしい夏休みを過ごしたかつての自宅付近、母校の坂本小学校(長崎市坂本)あたりを訪ねる機会がありました。学校周辺は大きく様変わりしていましたが、きれいに整備された校舎や運動場にはまだ当時の面影が残っていて、思わず目頭が熱くなりました。

小学校のそばの高台には、十字架をあしらった墓石が建ち並ぶ共同墓地があります。子どもの頃、墓地で遊ぶと大人たちに叱られるので足を踏み入れたことはありませんでしたが、文化財になっているキリシタン墓碑があると聞いたので探してみました。しかし、敷地は意外にも広く、40分ほど動き回っても見つけることはできませんでした。

そういえば、このあたりは昔からカトリック信者の家が多く、浦上教会のミサに通っている同級生もたくさんいました。彼らは今もこの地域に住んでいるのかな、すれ違ってもわからないかもしれないなぁ・・・。蝉時雨のなか、そんなことを思いながら下りていく、ちょっと淋しい帰り道でした。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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