おらしょ こころ旅

Vol.80

成人の日に思う

2016年1月11日 公開

何がそんなに気に食わなかったのか、振り返ってみてもよくわからないのですが、その日、20歳の青年は長崎に帰省していながら成人式に出席することはありませんでした。

まだ学生運動の火種がくすぶっている時代、既存の社会体制や政治体制に反発することが彼にとってのかっこ良さだったのでしょう。そして、それは彼の想いとは裏腹に何もできない焦燥感のあらわれだったのかもしれません。

今の20歳の若者はどうでしょう。テレビなどでインタビューを受ける同年代のスポーツ選手たちを見てみると、まわりの人々や聴衆に配慮した受け応えはすばらしく、コミュニケーション能力の高さに感心させられます。

1582年に長崎からローマへと旅立った伊東マンショ、千々石ミゲル、原マルチノ、中浦ジュリアンの4人の天正遣欧使節が、約8年半後に日本に戻り、豊臣秀吉に謁見したのも21、2歳のとき。それは、秀吉が伴天連追放令を発布した数年後のことでした。

そんななか、4人は西洋楽器で演奏を披露し、3度のアンコールにも応えたそうです。とくに秀吉から士官しないかと誘われた伊東マンショは、イエズス会に入る決心をしていたため、その申し出を断ったといわれています。

どんな時代にもすばらしい若者はいるものです。本当のかっこ良さって、ただ反発したり拒否したりするだけではなく、きちんと自分の考えを表現できる、伝えられるということなのかもしれませんね。

今日は成人の日。晴れておとなになった皆さん、おめでとうございます。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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