おらしょ こころ旅

Vol.75

人は土に還る

2015年12月7日 公開

コスモスが咲く空き地のそばにある共同墓地の一角に、覆屋に守られるように安置された8基のキリシタン墓碑がありました。

半円柱型や角柱型のものなど形はさまざまですが、数百年の時を刻んできた風格ある石たちは、最期まで信仰を守り続けた人々の強靭な精神性をたたえているようにも思えました。

南島原市には、ここ布津町のほかにも、有家町や西有家町を中心に数多くのキリシタン墓碑がのこされています。墓石を立てた仏式のものとは異なり、キリシタン墓碑は石を横に伏せたものが多いのが特徴だそうです。

墓石をただ見てまわるという単調なイメージから最初は気乗りがしなかったキリシタン墓碑めぐり。しかし、そのいくつかを訪れ、伏石と土の密着性に注目してみるとある根拠のない仮説が浮かんできました。

それは、石は葬られた場所を示すためだけではなく、亡くなった人の魂を鎮め、亡骸を自然に戻すためにおかれたのではないかということ。「ここで静かに眠りながら土に還ってください」。そう墓石が言っているような気がしたのです。

人は命をまっとうしたあかつきには土に還る。だからこそ私たちは一瞬一瞬を大切に生きていかなければならない。自由な発想はそんな想いさえわき立たせ、墓碑への興味を深めてくれました。

キリシタン墓碑をめぐる旅はこれからも続きます。次回はどんな発見があるのでしょうか。楽しさは自分で見つけるもの、面白くなるかどうかは自分しだい。そう教えてもらった南島原市の旅でした。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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