おらしょ こころ旅

Vol.66

秋の夜長に想うこと

2015年10月5日 公開

長崎国際文化会館で被爆資料を初めて見たのは何年生のときだったのでしょうか。その日は、被爆した人々の痛々しい姿や、変わり果てたまちのようすを見てショックを受け、食事もろくにのどを通らなかったことを覚えています。

1955年(昭和30年)に建てられた長崎国際文化会館は、その後、建物の老朽化にともない、1996年(平成8年)、長崎原爆資料館として建て替えられ、現在に至っています。

原爆資料館から150メートルほど離れたところに、授業でよくスケッチに訪れた原爆落下中心地公園があります。青空にそびえる赤レンガの塔を何度も描いた場所・・・。なぜかうまく描けたことは一度もありませんでした。

それが原爆により倒壊した旧浦上天主堂の残骸の一部を移築されたものと知ったのはずいぶんあとのことで、その重苦しい雰囲気もあってか、それから足を運ぶことはほとんどありませんでした。

久しぶりの原爆落下中心地公園。この日は多くの外国人観光客が訪れていて、標柱や浦上天主堂の遺壁にカメラを向けシャッターを切っていました。

平和公園から原爆落下中心地公園、長崎原爆資料館へと続くルートは、被爆地長崎の代表的な平和学習コース。一人でも多くの方々に訪れていただきたいと思います。

今年は被爆70周年。演劇や音楽、映像などの分野で多彩な記念事業が行われました。しかし、これを単なる「記念」として終わらせるのではなく、次代に向けて平和を「祈念」する新たな出発点にしたい。そのために何ができるのか、何をすればいいのか・・・。

国会前の騒然とした光景を映し出すテレビの前で、慌ただしく過ぎた夏を振り返りながら自問自答する私がいました。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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