おらしょ こころ旅

Vol.47

無人島に建つ教会

2015年5月25日 公開

階段状に広がる草原の向こうにその教会は建っていました。人が住んでいた時代から取り残されたように、しかし、その視線は海の向こうにある何かを見つめるように、揺らぐことなく毅然とたたずんでいました。

旧野首教会は、北松浦郡小値賀町野崎島にある教会。小値賀島までは佐世保港からフェリーで約3時間。野崎島まではそこからさらに船で30分ほど。正直言って「ようやくたどり着いた」という印象でした。

野崎島は、18世紀から19世紀にかけて外海の潜伏キリシタンが五島列島を経由して移り住んだ島。彼らは島の中央にある野首と、島の南端の舟森に集落を形成しました。

1873年にキリスト教が解禁されると、潜伏キリシタンたちはすべてカトリックに復帰。野首、舟森にそれぞれ木造の教会堂が建てられますが、1908年には煉瓦造りの旧野首教会が完成。その後も移住者は増え、集落は繁栄したそうです。

しかし、1960年以降は高度経済成長の波にのまれ過疎化が進み、1966年に舟森集落の住民が、1971年には野首集落の住民が島外に集団移転。二つの集落は無人となってしまいました。

旧野首教会が建つ丘の下にある自然学塾村は、廃校となった小中学校を活用してできた施設。夏休みにはキャンプを楽しむ子どもたちで賑わうのでしょう。そんな光景がかつての野崎島の姿をよみがえらせてくれそうです。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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