おらしょ こころ旅

Vol.269

マッチの日

2019年9月16日 公開

9月16日は「マッチの日」。1948年のこの日、それまで配給制だったマッチが自由に販売されるようになったそうです。

マッチと言って思い浮かべるのはアンデルセンの童話『マッチ売りの少女』。子どもの頃に読んだような気もするのですが、どんな話だったのか思い出せない、そんな私を含めた皆さんのために物語のおさらいをしましょう。

雪が降る寒い大晦日の夜、ひとりの少女がマッチを売っていました。マッチが売れなければ父親に叱られるため、すべてを売り切らなければ家には帰れません。しかし街ゆく人々は少女には目もくれずに通り過ぎていくばかりでした。

夜も更けて少女が暖まろうとマッチに火を付けると、目の前にクリスマスツリーや温かいストーブ、七面鳥のごちそうなどが現れ、火が消えるとその幻影も消えてしまいました。

流れ星を見つけた少女は、自分を可愛がってくれた祖母が「星が流れ落ちるときは魂がひとつ神様のところへ引き上げられるのよ」と言っていたことを思い出します。

そして次にマッチを擦ると、亡くなったはずの祖母の幻影が現れました。しかし炎が消えると祖母も消えてしまうため、少女は慌てて持っていたマッチすべてに火を付けたのです。

すると祖母は明るい光に包まれながら少女を優しく抱きよせ、二人は天国へと昇っていったのでした。

翌朝、街角には燃え尽きたマッチを抱き、幸せそうに微笑みながら亡くなっている少女の姿があったそうです。

作者のアンデルセンはこの童話を通して何を伝えたかったのでしょうか。それにはさまざまな意見や解釈があるようです。

そのひとつが、彼が敬虔なクリスチャンであったことから、天国に昇ることで永遠の命を得ることができるというキリスト教の教えが反映されているのではないかというもの。

そして一方で、貧しい人や弱い人に手を差し伸べることの希薄な社会の存在や、死ぬことでしか救われない人々がいること、さらに人間の幸せの基準がひとつではないことも示唆しているようにも思えるのです。

現代に通じる作品なんですね。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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