おらしょ こころ旅

Vol.258

リスクマネジメント

2019年7月1日 公開

ポルトガルとの貿易による利益は欲しいけれど、外国人宣教師の布教によってキリシタンが増えるのは困る、どうしたらいいのだろう?

時の権力者、豊臣秀吉は思案に暮れながら広い城内を歩き回っていたのかもしれません。

現に彼が1587年に発布した伴天連追放令は、「キリスト教は禁止するけど、ポルトガル船は来てもいいよ」という都合のよい内容でした。

その後、長崎の西坂で26人のキリシタンが処刑されるなど、禁教政策は厳しさを増し、やがてその姿勢は江戸幕府へと引き継がれていきました。

利益の裏に見え隠れする不利益をどうにかして軽減したい、なくしたい。

リスクを組織的に管理し、損失を回避するリスクマネージメントは今だけでなく昔も大切なことだったのでしょう。

大浦天主堂での信徒発見から2年後、1867年に始まったキリシタンの大検挙事件「浦上四番崩れ」。

これによって浦上村の信徒たちは流罪となり、北は富山、南は鹿児島の20藩に追放されました。その数は約3,400人だったといわれています。

一方、この事件は英字紙や駐在公使らによってすでに欧米諸国に伝えられていたため、当時、政府が欧米に派遣していた使節団は行く先々で大きな非難を浴びたそうです。

キリスト教を弾圧するような野蛮な国とは付き合えない、と。

リスクとはいったい何なのでしょうか。

そんな根源的な問いを自らに投げかけてみることも必要なのかもしれません。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

関連登録資産

  • よりみちスポット

    放虎原殉教地

    明暦3年(1657)603人の潜伏キリシタンが発覚した大事件「郡崩れ」に関係する。

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