おらしょ こころ旅

Vol.255

紙のステンドグラス

2019年6月10日 公開

小学校の工作の授業だったと思うのですが、大きな黒い画用紙を使ってステンドグラスをつくったことがありました。

それは半円アーチ型で、真ん中に数センチ幅の十字型を残して空間をくりぬき、そこに赤や緑、黄色、青などの色セロハンを貼っていくという簡単なものでした。

カトリック信者が多い地区に住んでいたこともあり、友だちと訪れた浦上教会のステンドグラスがモチーフだったような気がします。

時間内にできずに家に持ち帰り、兄に手伝ってもらってつくったステンドグラスは、それなりに満足できるもので、学校の評価が終わって手元に戻ると、居間の窓枠に取り付けました。

久しぶりに雲の切れ間から太陽が顔をだした朝、居間に行くと畳の上にうっすらと赤や緑の模様が浮かび上がっていました。

それは消えそうなくらいたよりないものでしたが、この日の食卓は紙のステンドグラスの話で持ちきりでした。

台紙が波打たないようにするためにはこうしたらいいとか、浦上教会のステンドグラスはそんなんじゃないとか、図柄はもっと手の込んだほうがいいとか・・・。

職人気質で仕事一筋、あまり家のことには興味を示さなかった父も、我が家は男ばかりだから花を飾っても誰も気付かないと愚痴ばかり言っていた母も、このときばかりはなぜか饒舌だったように記憶しています。

雨が降り続くこの時期は、世の中のすべてがモノトーンになるような気分になりますが、暮らしに彩りを加えるだけで気分も変わり、会話が弾むような気がします。

部屋が少し華やかになったと思ったら、それは誰かがカーテンを明るい色に替えてくれたのかもしれません。あるいは玄関に花を飾ってくれたからかもしれません。

気付いてあげましょうね。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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