おらしょ こころ旅

Vol.253

花菖蒲に寄せて

2019年5月27日 公開

春から初夏への季節の移り変わりとともに、花々も桜からツツジ、花菖蒲へとバトンタッチしていきます。

長崎県の花菖蒲のスポットといえば大村公園。約30万本が咲き誇るその光景は圧巻で、玖島城跡の石垣や板敷やぐらの白壁などとの調和も見事です。

大村市はかつて大村氏の城下町。江戸時代に造られた国指定名勝の旧円融寺庭園や、幕末から明治にかけて活躍した政治家楠本正隆の屋敷跡などもあります。

日本初のキリシタン大名大村純忠の領地であったことから、領民のほとんどがキリシタンとしてひそかに信仰を続け、多くの人々が殉教しました。

「郡(こおり)崩れ」と呼ばれる潜伏キリシタン発覚事件により131人が処刑されたという放虎原(ほうこばる)殉教地。

殉教者の首をさらしたといわれる獄門所跡。殉教者が再びよみがえることがないように首と胴を別々の場所に葬ったとされる胴塚跡や首塚跡。

初めて訪れたときは、人間がこれほどまでの残虐性を秘めていることに大きな衝撃を受けました。

人間は生来、善と悪を持った存在であるといわれていますが、善で悪を制御するのはそんなに難しいことなのでしょうか。

寛容に何かを受け入れる心が、力で制圧しようとする心に打ち勝つためには何が必要なのでしょうか。

争いを回避し、共存する道を見つけること­­––––。それは私たち人間が解決すべき課題だと思います。.

花菖蒲には「信頼」や「優しい心」という花言葉もあるそうです。

自らの心にも宿したい言葉ですね。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

関連登録資産

  • よりみちスポット

    放虎原殉教地

    明暦3年(1657)603人の潜伏キリシタンが発覚した大事件「郡崩れ」に関係する。

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