おらしょ こころ旅

Vol.18

10月のしめ飾り

2014年10月27日 公開

先日、熊本県天草市を訪れたときのこと。正月からもう10か月も経っているのに、家々の玄関の軒下にはまだ「しめ飾り」がありました。民家も商店もけっこうな確率で「正月続行中」といった感じでした。

以前、長崎県南島原市でも同じ光景に出会いましたが、地元の人いわく、「キリシタンではないことを証明するために、こうやって正月のしめ飾りを残しているんですよ」とのことでした。そのときのしめ飾りはすでに無残な姿で、真ん中にあるはずの「ダイダイ」はすでになく、枯れて縮こまった「うらじろ」は力なくハラハラと風になびいていました。

それは三月頃のことだったので、「へぇ、南島原にはそういう風習があるんだ〜」くらいの感想しか抱かなかったのですが、今回出くわしたのはなんと10月。しかもけっこう新しいものが多いのには驚きました。天草には一年中しめ飾りを売っている店があるのでしょうか。それとも正月用と一緒にまとめて買って、古くなったら取り替えているとか・・・。

キリシタンではないことを強く主張するためには、古いものよりも新しいもののほうがなんとなく効果があるような気がするのですが、キリシタン弾圧が厳しさを増すなか、目を光らせているお役人さんに無言で「うちは違います!」を示したしめ飾り。その圧倒的な力に敬服します。

今年もあと二か月あまり。年末にしめ飾りを付けるご家庭も多いと思います。少々気が早いですが、飾る場合、12月29日は避けましょう。「29=二重苦」ですから。また、31日は「一夜飾り」と言われ、正月の神様を迎えるのに一夜では失礼だと敬遠されるそうです。ご注意ください。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

おらしょ通信一覧
トップ