Vol.161
2017年8月7日 公開
この時期になると、テレビや新聞などで被爆した長崎のようすを伝える写真をよく目にします。それらはどれも悲惨で、写真を見るたびに核兵器のない世界の実現を願わずにはいられません。
そんな被災写真の中で、一面の焼け野原の中で赤煉瓦の堂壁を残しながらかろうじて建っている浦上天主堂の写真を見つけました。
天主堂に続く坂道は、現在とほとんど同じ形状をしており、それは小学生の頃、同級生と行ったクリスマス・イヴの日の思い出をよみがえらせてくれました。
被爆された方々にとっては、72年前の記憶がそのまま今につながっているのではないかと思います。
7月、国連本部の交渉会議で核兵器禁止条約が採択されました。そんな中、日本は、核軍縮を進めるためには核保有国と非保有国の建設的な協力が不可欠との立場から条約に反対し、交渉会議には参加しませんでした。
大切なことは立場や戦略ではなく、被爆者の方々の声に耳を傾け、その想いにどれだけ応えることができるか、だと思います。
世界で唯一の被爆国であるならば、その努力を続け、核保有国に核軍縮を促すためのリーダーシップを発揮してほしい、そう願うばかりです。
数年前、報道写真家ジョー・オダネル氏が撮影した「焼き場に立つ少年」という写真を見たとき、悲しさと憤りで涙が止まりませんでした。
8月9日、今年も平和祈念式典が行われます。あさってはどこでサイレンを聴き、あの日に祈りをささげるのでしょうか。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)