おらしょ こころ旅

Vol.128

郷に入っては・・・

2016年12月12日 公開

「父の仕事の都合でよく転校していたからなかなか友だちができなくてね」。学生時代の友人たちとの会食の席で、一人が小学生の頃を振り返りながらこう語りはじめました。

仲良くなったとしてもいずれまた転校する。だから友だちづくりには積極的になれず、みんなとうまくやっていくことを第一に考えるようになったとのこと。

みんなとうまくやっていく。思い出話に登場したこの言葉が、そのとき僕には現代社会を生き抜くひとつのキーワードのように思えたのでした。

今はそれほどではないけれど、昔は引越しをするとその土地に早く馴染むように近所付き合いを大切にし、地域のいろいろな行事にも積極的に参加したものでした。

18世紀の終わり、外海から五島列島にわたった潜伏キリシタンたちも、移住先の社会や宗教と共生しながら信仰を守り伝えたといわれています。

郷に入っては郷に従え。

新しい土地に来たら、その土地の風俗や習慣に従いましょうということわざ。

とても窮屈な考え方のようですが、そうすることによって新たな出会いや発見が生まれてくるかもしれませんね。

拒絶するのではなく、おおらかに、しなやかに生きることの大切もおしえてくれているようです。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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