おらしょ こころ旅

Vol.10

山王神社のはなし

2014年9月1日 公開

お盆を過ぎると・・・というか、精霊流しが終わると、長崎の人々の関心は自然と「長崎くんち」(10月7日から9日まで)に向かっていくようです。特に踊町の人たちにとっては追い込みの時期。市内中心街のあちこちで本番さながらの練習風景に出会います。

長崎くんちは、諏訪神社の秋の大祭。江戸時代、長崎奉行がキリシタン対策としてこれを保護、奨励したことから年々盛んとなり、長崎の伝統行事として定着してきたそうです。しかし、「くんち」は諏訪神社だけではなく、長崎市周辺部の多くの神社でも行われています。

子どもの頃は、そこが遊び場だったこともあって、山王神社(長崎市坂本)の浦上くんち(10月17日)を毎年楽しみにしていました。その日の授業は確か午前中だけ。帰宅してランドセルを置くと一目散に神社へ。境内に並んだ屋台で好きなものを買って食べて、日が暮れるまで友だちと遊んだことを覚えています。

山王神社といえば、一本柱鳥居(二の鳥居)や被爆クスノキがよく知られていますが、かつてはイエズス会が経営する病院があった場所。その小聖堂で西坂の処刑場に向かう二十六聖人が最後の休憩をとったといわれています。

容赦ないキリシタンへの迫害によって殉教した人々と、被爆しながらも生き続けたものたちの「いのち」の物語が息づく山王神社。今も階段の下に立つと、青々とした無数の葉をまとったクスノキが、まるで両手を広げるようにやさしく出迎えてくれます。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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